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《テーマ2》根抵当不動産への滞納処分による差押

 当行が根抵当権の設定を受けている不動産が、税務署の滞納処分によって差し押さえられました。

1.根抵当と国税との優先関係

当行が根抵当権の設定を受け、これを登記している以上、国税に優先すると考えてよいでしょうか。

根抵当権設定登記の日と、国税の法定納期限との先後で決まります。

 国税は、納税者の総財産について、原則として、他の全ての債権に優先して徴収することができます。しかし、(根)抵当権が設定されている不動産については、その(根)抵当権が国税の法定納期限以前に設定登記されている場合は、(根)抵当権の被担保債権が国税に優先します。

 つまり、国税の法定納期限と(根)抵当権設定登記日の先後によって、その優先劣後が決まるということで、たとえ根抵当権設定の登記がなされていても、設定登記の日より法定納期限が前の滞納税金に関しては、国税が優先することになります。

2.追加融資の可否

今後も、この根抵当権を利用して融資することができますか。

  実務上、融資はできないと考えてください。

 民法上、根抵当権は、根抵当権者が滞納処分による差押があったことを知った時から2週間を経過したときに元本が確定します。この民法の規定によれば、根抵当権者が滞納処分による差押の通知を受けてから2週間以内であれば、新たな融資をしても根抵当権で担保されることになるのですが、滞納国税との関係においては、根抵当権の被担保債権が国税に優先するのは、滞納処分による差押の通知を受けた時点の残高が限度とされています。

  したがって、いくら滞納国税の法定納期限より前に設定登記がなされている根抵当権があっても、差押の通知後に融資した残高については、国税に劣後することになるのです。

3.滞納処分による差押後の代位弁済

滞納処分による差押によって根抵当権の元本が確定するとすれば、差押の通知を受けてから2週間経過した場合は、保証機関の代弁を受けても差し支えないのでしょうか。

 保証機関の代位弁済を受ける前に、元本確定の登記が必要です。

 根抵当権の被担保債権について保証機関等が代位弁済を行う場合は、通常、根抵当権の保証機関等への(一部)移転登記が条件とされるでしょう。しかし、この代位弁済を原因とする根抵当権の(一部)移転登記は、根抵当権の元本が確定した後でなければできない登記とされており、また、登記実務上は、滞納処分による差押の登記がなされていても、登記簿上根抵当権の元本確定が明らかな場合には当たらないとされているため(根抵当権者が何時差押を知ったか、登記簿上はわからないからでしょう)、保証機関等への根抵当権移転登記を行うためには、別途、元本確定の登記が必要となるのです。(根抵当権の元本確定の方法・元本確定の必要性等については他の機会に詳述します。)

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