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《テーマ12》債務者や保証人が破産した場合の破産債権の届出等

 個人が保証人になっている債務者が破産した場合や、債務者の保証人・物上保証人が破産した場合の破産債権の届出等はいかにすべきでしょうか。

1.債務者の破産

債務者Aさんが破産手続開始決定を受け、当行は債権全額(1,000万円)を破産債権として届け出ましたが、この度Aさんの連帯保証人Bさんから500万円の代弁を受けました。
 この場合、届出債権についてはどうしたらよいでしょうか?

現時点では、何もする必要はありませんが、将来全額の代弁を受けた場合は、破産債権の承継手続が必要になります。

 破産法は、連帯債務者や保証人が付された債権についても、「債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加できる」旨を定めています。また、保証人等については「破産者に対して求償権を有する者もその全額について破産手続に参加できる」が、「債権者が破産手続に参加したときはこの限りでない」と規定しています。

 つまり、債務者が破産した場合は、債権者だけでなく、保証人も将来の代弁を前提としてその求償権を破産債権として届出ができるものの、債権者が破産債権の届出をした場合は、(実質的に同一の債権が二重に届出されることを防止する意味で)保証人は破産債権の届出はできないということです。

2.連帯保証人の破産

融資先のAさん自身は事業も順調なのですが、Aさんの連帯保証人であるAさんの友人Bさんが破産手続開始決定を受けました。この場合も、破産債権の届出をすることができますか?

Aさんへの融資残高全額(Bさんに対する保証債権全額)について破産債権の届出をすることができます。保証人が負担している保証債務は、本来、主債務者が弁済しない場合に、はじめて保証人が履行すべき筋合いのものであり、これを保証債務の補充性といいます。

 しかし、この原則を保証人が破産した場合にまで認めると、債権者は、主債務の弁済期が到来しない限り、破産債権たる保証債権を行使できないことになり、破産配当を受けられない虞が生じますから、せっかくの保証が無意味になりかねません。

 そこで、破産法は「保証人について破産手続開始の決定があったときは、債権者は、破産手続開始の時において有する債権の全額について破産手続に参加することができる。」と定めています。

 これは、主債務の弁済期が未到来でも、保証債務については期限の利益が失われることを意味し、保証人が破産した場合、債権者は主債務の弁済期にかかわらず、保証債権全額について、破産債権の届出をすることができるのです。

3.物上保証の場合

Q2の事例で、Bさんが物上保証人(抵当権の担保提供者)である場合は、どうですか?

担保提供者が破産しても、破産債権の届出はできません。別除権を行使(抵当権を実行)することはできますが、可能であれば、Aさんに他の担保等を求め、別除権の放棄を検討することも必要でしょう。

 物上保証人(担保提供者)は、連帯保証人等になっていない限り、債務者が債務を履行しない場合に、提供した担保が処分されることに甘んじなければならないというだけで、債務そのものは負担していません。このため、物上保証人が破産しても、債権者は破産債権者とはなりませんから、破産債権の届出はできません。

 しかし、抵当権は破産法上別除権として扱われますから、債権者は抵当権者として、破産手続と関わりなく別除権を行使して(抵当権を実行して)債権回収を図ることができます。

 ただ、留意しなければならないのは、別除権を行使して抵当権者が弁済を受けると、破産財団が債務者に対する求償権を取得し、破産管財人が債務者に対してその求償権を行使することになるということです。そして、担保は通常、債権額に見合った価額であるため、債権者の別除権行使によって破産財団が取得する求償権も多額になるものと予想されますから、求償を受けた債務者はこれを(一括しては)履行できない可能性が大きいでしょう。

 したがって、債務者(Aさん)の業況が悪くないとすれば、金融機関としても、融資先そのものの破綻を招く可能性のある別除権の行使が必ずしも得策とは限りません。このため、代替担保の徴求等によって債権保全が可能であれば、別除権の放棄等を検討すべき場合もあるでしょう。

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